以前の記事でアンテドラッグについて書いたところ
「アンテドラッグは病院では処方してもらえないのでしょうか?」
といった質問を頂きました。
きっと同じような疑問をもたれている方も多いと思いましたので、今回の記事は「アンテドラッグ」です。
まず、アンテドラッグとはどういう薬の事をさすのでしょうか?
アンテドラッグとは1982年に提唱された概念で
「科学的修飾により投与部位では活性を有し、循環系に入ると速やかに代謝されて不活化する物質」
という意味です。
ステロイド外用剤を例にとると、皮膚局所ではステロイドの効果を発揮するが血中にはいるとすぐに分解されるお薬という事になります。
弱いステロイド剤の場合(例えば、ロコイド、キンダベート、アルメタなど)、そうそう全身の副作用が出るようなことはありません。
しかし、強いステロイドの場合、大量に長期外用をし続けると、ステロイド内服と同じような副作用が出る危険性があります。
例えばvery strong(上から2番目の強さ)のステロイドの場合、1日10g、最長で3ヶ月間使うのが全身の副作用が出ない安全量のマックスです。
でも、これは1ヶ月5gチューブを60本使い切る事と同じですから、まず心配しなくて良いレベル。
それでも、より安全に使えるように、アンテドラッグと言うものが開発されました。
日本初のアンテドラッグは大正製薬のパンデル(very strong)というお薬です。
パンデルは国内初のアンテドラッグステロイド外用剤としては有名なのですが、あまり処方されないお薬です。置いてない病院も多いんじゃないかな。
その後、いくつかのアンテドラッグステロイド外用剤が開発されています。
ここで、教科書などいろいろ調べていて気がついたのですが、アンテドラッグについてきちんと表にしたようなデータがない、のです。
普通ステロイド外用剤のランクは、どんな教科書にも、また一般向けの本やインターネットでも見つける事が出来ます。
しかし、アンテドラッグ一覧表なるものは、僕が探した限り見つからない。。。
しょうがないですね、こういう場合。
ステロイド外用剤1つずつについて、発売元の製薬会社のホームページからインタビューフォーム(以下IFとします。お薬について添付文書以上に詳しく書かれたもの)を調べていきました。
1.2時間かかりました。
なので、大事に読んでください(笑)。
発表します。
アンテドラッグステロイド外用剤は以下です
「マイザー」
「パンデル」
「リドメックス」
の3つだけ。
(ブログを読まれた製薬会社の方で、うちのこの薬もアンテドラッグだよ、っていうのがあれば教えてくださいね。)
ステロイドのランクとしては、マイザーとパンデルはvery strong、リドメックスはstrongです。
リドメックスに関してはIFがきちんと入手出来ず、成分である吉草酸酢酸プレドニンというアンテドラッグとして使われているものからの逆引きです。
追記:製薬会社の方より連絡を頂き、文献をもらいました。
アンテベートもアンテドラッグに含むそうです。
また、ロコイド軟膏、プロパデルム軟膏もアンテベートの定義に含まれる、と書いてある文献も見つけましたので追加します。
またアルメタ(very weak、上から4番目の強さ)も同様に「局所での作用>全身での作用」の差が大きい薬として記載されています。
調べた時間を考えると、労多い割にアンテドラッグ少なし、といったところでしょうか。
そりゃぁ、表にもならないわな。。。
では、実際に皮膚科でどうやって処方してもらうか考えてみましょう。
「すいません。今使っているステロイド外用剤をアンテドラッグに変えて欲しいのですが。。。」
と言って通用する皮膚科医は残念ながら多くないと思います。
そこで
「このお薬を○○(アンテドラッグ薬品名)に変える事は出来ますか?」
と直接薬の名前を出して変更をお願いするのが良いと思います。
ただし変更が可能なのは、同じレベルのステロイドのみです。
リンデロン使っている人が「マイザーに変えてください。」と言っても、ランクが変わるのでなかなか難しいと思います。
このあたりの判断は、実際に皮膚を見ている主治医の判断が一番です。
症状にあったステロイドを処方してもらってください。
アンテドラッグにこだわるあまり、本来のアトピーの治療が厳かになったり過剰になってしまっては本末転倒です。
あくまでもアンテドラッグは「より安心してステロイド外用剤を使う」ためにあるものです。
何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」です。
アンテドラッグは知識としてしっかり覚えておいて、賢く使いましょうね。
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